- うら
- I
うら【占】〔「心(ウラ)」と同源か〕形や前兆によって神意を知り, 事の成否や吉凶を判断すること。 うらない。II
「夕卜(ユウケ)にも~にも告(ノ)れる/万葉2613」
うら【己】一人称。 主として下賤の者が用いる。 おれ。 おのれ。III「~が親方の背戸ぐちに/滑稽本・膝栗毛(初)」
うら【心】〔表に対する裏, 外面に現れない内部の意〕(1)こころ。 心のうち。→ うらも無し(2)形容詞・動詞の上に付いて, 複合語をつくり, 心の中で, 心から, などの意を表す。「~さびし」「~がなし」「~まつ」
~も無・し(1)心のへだてがない。「~・くなつかしきものから, うち解けて/源氏(若菜上)」
(2)無心だ。 屈託がない。「夜も~・ううちふして寝入りたるほどに/蜻蛉(下)」
(3)無遠慮である。IV「~・くたはぶるれば/蜻蛉(中)」
うら【末】(1)枝先。 こずえ。 うれ。「小里なる花橘を引きよぢて折らむとすれど~若みこそ/万葉 3574」
(2)先端。 はし。 すえ。V「~筈(ハズ)」「~成り」
うら【浦】〔「裏」と同源〕(1)海などの, 比較的小さな湾入部。 入り江。「田子の~」
(2)海岸。 湖岸。 浜辺。(3)海岸沿いの, 半農半漁の村。VI「~百姓」
うら【裏】(1)表面と反対の面。 下または陰になって見えない部分。⇔ 表「小切手の~に署名する」(2)前面・正面の反対側。 うしろ。⇔ 表「~の出口」「~の家」(3)衣服・袋物などの内側に付ける布。⇔ 表「~はキュプラだ」(4)相手の予想や世間の常識の反対。 逆。(5)表面には現れない隠された内部の事情。 内情。⇔ 表「彼の発言には~がある」(6)公正なやり方ではないこと。「~から手を回す」
(7)正式ではないこと。⇔ 表「~芸」(8)野球で, 後攻チームの攻撃するイニング。⇔ 表(9)裏付け。 証拠。(10)〔論〕〔reverse〕命題「 p ならば q である」に対して, その前件と後件の両方を否定した命題「p でなければ q でない」をいう。 ある命題が真であっても, その裏は必ずしも真ではない。→ 逆→ 対偶(11)遊女を揚げるとき, 初会の次, すなわち二度目。(12)連歌・俳諧で, 懐紙の裏側のこと。⇔ 表(13)「裏千家」の略。~か・く矢・槍などが物の裏まで突き通る。「雨の降る様に射けれども鎧よければ~・かず/平家 9」
~には裏がある内情が複雑である。 込み入った事情を含んでいる。~の裏を行・く相手がこちらの裏をかこうとする, さらにその裏をこちらがかく。~へ回・る堂々と振る舞うのではなく, 表立たないようにこっそりと行動する。「~・って悪口を言う」
~を打・つ紙・布・皮革などの裏に補強などのために紙や布を張る。 裏打ちする。~を返・す(1)初めて遊んだ遊女をもう一度呼んで遊ぶ。(2)(「裏を返せば」の形で)逆の面から言えば。 逆の言い方をすれば。「~・せば, 与野党なれあいの決着」
~をか・く(1)「裏かく」に同じ。(2)相手の予想や計略をだしぬく。「相手の~・いて快勝した」
~を取・る(警察・報道関係などで)供述や情報などの真偽を確認する。 裏付けを取る。「自白の~・る」
~を封(フウ)ず私人の文書の裏に権力のある者が証明の文言もしくは署判を加える。 裏封。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.